上越市・糸魚川市・妙高市・柏崎市・新潟県全域の皆様へ【障害年金申請をお考えの方へ】
『ある日突然、夫は「歩けない体」になった ―― 脳出血で障害年金を受給されたご家族の記録』
<前触れのない発症>
その日まで、ご主人は会社員として日々懸命に働き、家族を支えてこられました。軽い頭痛や血圧の高さはあったものの、大きな病気とは誰も思っていませんでした。ところがある日の勤務中、突然左半身が動かなくなり、そのまま職場で意識を失いました。診断は脳出血。集中治療室での数日間、ご家族はただ祈ることしかできない時間を過ごされました。一命はとりとめたものの、その後に残ったのは、左半身に及ぶ重い肢体の麻痺でした。腕は自力で動かすことができず、歩行にも杖と装具、そして介助が欠かせない状態です。加えて、記憶障害や失語症といった「外からは見えにくい」高次脳機能障害も残り、日常生活のさまざまな場面に影響を及ぼしていました。まだ小学生のお子さん2人を抱え、家計を支えていた収入も途絶え、ご家族は先の見えない不安の中で日々を過ごされていました。
<「この状態を、どう伝えればいいのか」という壁>
障害年金の申請を考えたとき、ご家族は大きな壁にぶつかりました。今回のご主人の障害は、あくまで肢体の障害が中心です。麻痺の程度や歩行の状態は、診断書上でも比較的表現しやすい部分です。しかし、そこに重なる高次脳機能障害――同じ質問を何度も繰り返すこと、文字が思うように書けないこと、自分の状況を正しく認識できないこと――は、検査数値やレントゲンのように誰の目にも明らかな障害ではありません。肢体の障害用の診断書には「その他の精神・身体の障害の状態」という欄があり、この付随する高次脳機能障害をどのように書き添えていただくかが、今回の申請では非常に重要な意味を持ちました。この欄への記載一つで、審査する側が本人の生活実態をどこまで正確にイメージできるかが大きく変わってくるためです。「毎日そばで見ている自分たちにはわかることが、書類にすると、うまく伝えられない」そうした不安を抱えたご家族から、弊所にご相談をいただきました。
<事務所としての取り組み>
私たちがまず行ったのは、発症前後の状況から現在の生活に至るまでを、ご家族に何度も丁寧に伺うことでした。頭痛の頻度や発症時の様子といった経過だけでなく、入院中の生活の中で日々起きている「小さいけれど重要な出来事」を、時系列に沿って一つひとつ言語化していきました。肢体の障害については、麻痺の程度や歩行の状態を、リハビリの経過や医学的所見とあわせて整理し、診断書の内容と齟齬が生じないよう確認を重ねました。そして今回のケースで特に力を注いだのは、肢体の障害用の診断書にある「その他の精神・身体の障害の状態」欄への記載でした。この欄は、あくまで肢体の障害を評価するための診断書の中で、高次脳機能障害という付随する障害の存在と、それが生活に及ぼす影響を書き添えていただける、いわば数少ない窓口です。
肢体の障害用の診断書をご依頼する際には、ご家族から伺った日常生活の具体的な状況を整理した資料を作成し、あわせてお渡ししました。記憶障害、失語症、遂行機能障害、病識の低下――これらが日常生活のどの場面で、どのように支障となっているのかを具体的なエピソードとしてまとめ、「その他の精神・身体の障害の状態」欄にご記載いただけるよう、あわせてお願いいたしました。あわせて、病歴・就労状況等申立書にも、同じ質問を繰り返してしまうこと、着替えや金銭管理、通院や外出の際にどのような見守りが必要かといった生活の実態を具体的に記述し、診断書の記載内容と齟齬のない、一貫性のある書類となるよう整えました。肢体の障害としての評価に、高次脳機能障害という要素が正しく加味されるよう、診断書と申立書の両面から積み重ねていくことを意識した対応です。申請から結果が出るまでの間も、進捗や今後の見通しについてご家族と随時共有し、できる限り寄り添いながら進めることを心がけました。
<認定、そしてこれから>
こうした準備の結果、ご主人は障害年金の受給が認定されました。今も自宅でのリハビリと療養は続いており、日常生活には多くの支援が必要な状態に変わりはありません。それでも、経済的な支えが得られたことは、ご家族にとって今後の生活を考えていく上での大きな支えになったのではないかと感じています。
<最後に>
肢体の障害は、麻痺の程度や歩行の状態として比較的目に見えやすい一方で、そこに重なる高次脳機能障害は、外見からは「普通に見える」ことが少なくありません。だからこそ、その両方を正しく診断書に反映させることは容易ではなく、ご本人やご家族が抱えている苦労が、当事者にしかわからないまま埋もれてしまうことも少なくないのです。
弊所は、肢体の障害を軸としながらも、そこに付随する「言葉になりにくい日常の困難」を漏らさず、審査する側に届く形にする専門家でありたいと考えています。今、同じように将来への不安を抱えていらっしゃる方がいらっしゃれば、どうぞ一人で抱え込まず、私たちにお話をお聞かせください。